旧HP開設時画像 2009年6月
宇太水分(うだみくまり)神社 ( 奈良県宇陀市菟田野 )
丹波佐吉狛犬 |
金森敦子著 『 旅の石工 丹波佐の生涯 』
( 1989、9、20 発行 )( 法政大学出版局 )
p. 184、185
《 和泉石の目のつんだ部分だけ選って、丹精こめて彫りあげたこの狛犬は、すばらしい出来ばえであった。
彫りあげられたあと、さらに入念に磨きあげられて、この石特有の青黒いツヤを放っている。
威風堂々とした風格のある阿・吽の二狛である。 |
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尾はヤツデの葉のように大きくパンと開き頭部の豊かな巻毛にも、胸や四肢の筋肉にも、力が張りつめている。
額の肉づきは厚く、その奥に光る眼は射るような鋭さをもっていて、どこをとっても充実した気迫に満ちている。
「奉献」と彫りあげられた文字も深々として、力強く品格がある。何ものにも揺るがぬ力強さに満ちた二匹のこの狛犬が、しっかりと大地を押さえつけて揺れを止めたのだと感じた人がいたとしても、不思議ではない。 |
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巻毛の手法、横に張り出した肉厚の顔、尾房の開き方、台座側面をふち取るように四方に細い線を入れるやり方、深々とした文字の彫り、いずれも佐吉の狛犬の典型を示すもので、のちのちになっても彼はこの手法をかえてはいない。
佐吉にとっても会心の作であったにちがいない。 》
(石工銘) 作師 照信 花押
嘉永七年 ( 1854年 )九月
○嘉永七年(1854年)六月から十月
大和宇陀大地震がおきている。○ |
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